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偉人「ピタゴラス」裏の顔がすごすぎる

天才の日常~ピタゴラス編

■作られていたピタゴラスの奇跡

 今から約2600年前、紀元前6世紀前半にイオニア地方のサモス島で、印象彫師の子として生まれた。最初の哲学者とされるタレスと概ね同時代の人物で、生まれた地域も近い。関連:「溝に落ちた最古の哲学者・タレス」

 若年期にエジプトやペルシアなどを旅して廻り、宗教者から様々な教えを授かった。エジプトでは普通は立ち入れないような神殿の奥深くに入り、神々の秘儀を学んだようだ。

 旅を終えて故国に戻ると、独裁者による専制政治が行われていた。元々、独裁者との関係は悪くなかったようだが、いつしか疎まれるようになったのだろう。やがてピタゴラスは故国を捨てて地中海を渡り、イタリア半島南岸のギリシア人植民都市クロトンへ移住した。

 彼の地に移り住んだピタゴラスは早速、都市のための法律を制定し、国政に関わって、かなりの善政を行ったとされている。

 やがてピタゴラスは、政治的な能力だけでなく、ミステリアスでカリスマ的なキャラクターによっても崇拝を集めるようになった。当時の人から見ると、彼は相当に人間離れした存在であり、数々の「奇跡」によって何度も驚かされていたようだ。

 ある時、ピタゴラスが何日もの間、姿を消して消息不明になったことがあった。しばらくしてから、やせ細り、骨と皮だけになったボロボロな姿のピタゴラスが人々の前に現れた。なんと、彼は地下の世界へ行き、冥界を旅していたという。冥界の様子を詳しく話すと同時に、自分が姿を消していた間に街で起きた出来事についても事細かに話すと、人々は驚きと感嘆をもって彼の話に聞き入って、声を上げて泣き、ピタゴラスは神様のような人だと信じるようになった。

 実はこのエピソードには裏がある。ピタゴラスは自宅に地下室を作ってしばらくの間地下に篭り、地上で起きた出来事を母親にメモさせていたのだ。何のためにこんなことを行ったのかは不明だが、「奇跡」を起こして自らのカリスマ性を高めようとしたのかもしれない。

次のページ転生を繰り返し、その記憶を保持し続ける能力?

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大賀 祐樹

おおが ゆうき

1980年生まれ。博士(学術)。専門は思想史。

著書に『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(藤原書店)、『希望の思想 プラグマティズム入門』 (筑摩選書) がある。


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